展覧会情報

Fluid Echo
謝岳静

場所: | コラージュプリュス |
---|---|
会期: | 2025-05-13(火) ~ 2025-05-25(日) |
時間: | 12:00-19:00 最終日17:00まで |
展覧会内容
自分の目では体の内部の構造を見ることも、自分の精神を見ることもできない。「自分」を理解するために、血液型診断や占い、MBTIなどの個人の性格診断をよく受けていた。結局、自分自身に多くの一般的なラベルを付けたが、「自分自身」の理解はより曖昧になった。
私は鏡で自分の顔や体の状態を確認する。「鏡の中の私と世界は、私が存在する時空と同じ場所にいるだろうか?」そんな疑問が頭に浮かんだ。なぜなら、視覚だけで鏡の中の事物を観察できるけれども、触覚や嗅覚を通じて鏡の中のものを感じ取ることはできないからだ。ドローイングや写真を通して、鏡の中に介入する。
私は何なのか?私は空気、気泡、雲などかもしれない。
謝岳静
—————————-
謝岳静は、「自己とは何か」を主題に、写真と絵画の融合した表現を追求しながら、鏡を媒介したインスタレーションを主に制作する。鏡の表面に墨でドローイングしたものをスキャナーにかけたスキャン画像に、日常生活の中で目にする風景や物を撮影・編集した写真素材を加えてデジタルコラージュする。手で描くという身体的な行為や、鏡に映り込む自身の姿を制作プロセスに取り込むことで、身体性を作品の中に深く関与させている。ソフトミラーと合わせて空間構成したインスタレーションは、虚実を行き来する『鏡の国のアリス』のような鑑賞体験を生み出し、私は私であるという自明の前提を揺らすことで「自己とは何か」鑑賞者に問いを差し向ける。
フランスの哲学者ボーヴォワールは、著作『第二の性』の中で「人は女に生まれない、女になる」と主張する。女性はしばしば他者として定義され、その存在は他者の視線により構築されると述べている。本展覧会『FLUID ECHO』は、ボーヴォワールの指摘を受けた謝が、より意識的に視線の焦点を外側ではなく内側に向けたインスタレーションを展開する。言葉によるカテゴライズを強いられる社会の中で、流動的に生成し続ける自己を内側から開く契機を探る。
文・谷口雄基
アーティスト詳細
謝 岳静 XIE YUEJING
1998年中国生まれ。現在の制作では、鏡面に描いた絵とフィルムをスキャナーで取り込み、写真と絵画の境界を横断する手法を探究している。私にとって「自己」は常に変容する存在であり、精神と肉体の距離感やホログラフィック理論が示す世界の曖昧さが創作の原動力となる。こうして生じる浮遊する内面をリアリティと共鳴させ、インスタレーションへと展開している。
-EDUCATION-
2025.03 京都芸術大学大学院芸術研究科芸術専攻修士課程美術工芸領域写真・映像分野卒業
2021.07 中国西安美術学院中国画学院花鳥画コース卒業
-EXPERIENCE-
2025.02 京都芸術大学大学院修了展 @京都芸術大学 瓜生山キャンパス ギャルリ・オーブ(日本・京都)
2024.02 大学院修士課程有志展Open Studio @京都芸術大学 瓜生山キャンパス NC407(日本・京都)
2024.12 揺らめく境界 -汪美杉 謝岳静 高安琪 三人展 @恵風ギャラリー(日本・京都)
2024.07 SPURT 2024 -京都芸術大学大学院芸術研究科芸術專攻(修士課程)2年生作品展 @京都芸術大学 瓜生山キャンパス ギャルリ・オーブ(日本・京都)
2024.06 NEGENTROPY ネゲントロピー -京都芸術大学大学院とインディアナ大学エスケナージ美術建築 デザイン学部の学生による共同展 @京都芸術大学 瓜生山キャンパス 人間館(日本・京都)
2024.02 いちめんのなのはなー大学院修士課程有志展 Open Studio @京都芸術大学 瓜生山キャンパス NC501・502・503(日本・京都)
2023.09 HOP 2023 -京都芸術大学大学院芸術研究科芸術專攻(修士課程)1年生作品展 @京都芸術大学 瓜生山キャンパス ギャルリ・オーブ(日本・京都)
2021.07 TIMEMARK-OPEN XAFA2021 -中国西安美術学院卒業制作展 @中国西安美術学院美術館A館(中国・西安)
2020.12 I AM HERE 2020, Annual Exhibition of Young Artists @中国西安知也美術館
【Instagram】
https://www.instagram.com/emilyxie22?igsh=MXZsY3RlcmluenJ2Mw%3D%3D&utm_source=qr