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2014.04.09 展覧会アーカイブ, 同時代ギャラリー展示, 2014

大和由佳 柄、杖先、新しい小径

今週のギャラリーは「大和由佳 柄、杖先、新しい小径」
ジュネーブにあるアート支援組織『The Espace cheminee nord』と同時代ギャラリーの共同プロジェクト、『アーティスト・イン・レジデンス京都×ジュネーブ交換プロジェクト』のアーティストである大和由佳による個展です。
大和由佳は、愛知県出身、武蔵野美術大学を卒業後、京都市立芸大大学院を修了し、現在埼玉県に在住する作家です。中之条ビエンナーレ、BIWAKOビエンナーレなどで場と時間、人の関係性をこまやかな感性でとらえたインスタレーション作品で好評を得ています。

会場に入ると、大小様々な白い平面をいくつも浮かべたインスタレーションが迎えます。表面に見える無数の痕跡は、靴底、網、ロープなど身近にありふれた物を押し付けて作られています。その中には、展覧会タイトルにもなっている「杖先」の跡も。誰かが杖をつきながら一歩一歩進んでいる、、、そんな情景が浮かびます。まっすぐに吊られた糸の緊張感、そして時折そばを流れる風によってゆらぐかすかな動きが、独特な世界観を生み出しています。

「杖」をモチーフとした作品。
これは、2010年に制作された作品『湿原の杖』に始まったシリーズで、2013年には、群馬県のある地域で、人々の杖を撮影してまわった体験をもとに現 地で制作展示を行ったり、杖そのものが残す杖先の跡に注目したインスタレーションの展示をしたりと、多様な展開をみせているものです。今回の個展では、こ の2013年に発表した2つの作品がベースとなっており、それらのメイキング映像も、会場奥の部屋で見ることができます。

数点のドローイングは、インスタレーション作品と関連して制作されたもので、鑑賞者に様々な解釈を与えてくれます。
とても印象的な作品です。ぜひご覧下さい!
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「小説家で詩人のレイモンド・カーヴァーは、友人の画家から滝を逆流する鮭の絵をプレゼントされ、その時取り組んでいた詩集に「滝への新しい小径」と名付けた。
重い病にかかり死が迫っていたカーヴァーは、その絵を見るたびに滝に辿り着き、差し伸べた両手を落下する冷たい水にあてていたのだと思う。今回、2013年から取り組んでいる杖にまつわる作品を展示する。
今のあなたは杖を必要としてはいないかもしれないし、私自身もまだ杖をつかずに歩くことができる。しかし、あなたがその手で握れるような何かがあることが 必要で、私はそれを「杖」としてみた。それは、今立っている場所が「新しい小径」に通じていることをしめすための、私が提供できる担保である。」
大和由佳会期:2014年4月8日(火)~13日(日)
時間:12:00~19:00(最終日は18:00迄)