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2026.01.06 展覧会アーカイブ, 同時代ギャラリー展示, Exhibitions, 2026, 2026

それは大変めでたく、やむを得ず祝福した。

場所: ギャラリー
会期: 2026-1-6(火) ~ 2026-1-11(日)
時間: 12:00-19:00
最終日17:00まで

https://www.dohjidai.com/gallery/exhibition/a20260105/

ホワイトキューブに線を貼り合わせること。それは完成図や永遠を指向した制作ではなく、その場にある空間や時間、それに応答する身体の動きを引き受けることで、生成過程の只中にある線の事象に身を投じる試みである。グラフィティやストリートアートの系譜に連なる動きを彷彿とさせながら、その場でしか成立しないテープによる表現は、身体と場が関係付いた洞窟壁画まで遡及できる描くことの原点を思い起こさせる。暦法が採用される以前の日本では、春と秋だけが季節として認識され、春の始まりがそのまま年の始まりと重なっていた。それは現在の暦でいう「立春」にあたる時期であり、その前日を「節分」や「年越」と言うのはその名残である。年賀状や新年の挨拶に「謹賀新年」や「迎春」の言葉を用いるのは、無意識にそうした伝承を引き継いでいるからだろう。つまり、正月とは生物が躍動する春を迎え、人々がその生命力の更新を祝福するところに意味がある。年始の白い壁面に細いテープで書き初めをする行為には、未来にかけた儀式的な祝福の意味合いが与えられる。

更新を讃える生命を前にしながら、そうでないものの存在を私たちの背後に認めることができる。これからを祝うテープの表現と、ここではない水平線の向こう側が見える海のペインティングは、未来と過去を満ち引きする現在という名の島を一時的に会場に創出させる。ロシアの詩人オシップ・マンデリシュタームは、自身のエッセイ『対話者について』の中でこう述べている。「航海者は遭難の危機に臨んで、自分の名と自分の運命を記した手紙を瓶に封じ込め海へ投じる。幾多の歳月を経て、砂丘をそぞろ歩いていて、わたしは砂に埋もれた瓶を見つけ、手紙を読んで遭難の日付けと遭難者の最後の意思を知る。わたしにはそうする権利がある。わたしは他人あての手紙を開封したりはしない。瓶に封じ込められた手紙は、瓶を見つけた者へあてて書かれているのだ。見つけたのは、わたしだ。つまり、このわたしこそ秘められた名宛人なのである。」諸々の喪失がある中で、ただ言葉やイメージは忘却をくぐり抜けて手元に残る。躍動せよ。新年を踊る。

文 谷口雄基

大角ユウタ

2001年滋賀県生まれ。2024年瓜生山学園京都芸術大学総合造形コース卒業。
現在は京都を拠点に活動。
「場と身体」「価値観の形骸化」といったテーマを軸に、文化的、歴史的背景と個人史を織り交ぜて絵画やインスタレーションを制作。
主な展覧会に、「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2025」( 京都国立博物館、 京都、2025)、「ART RHIZOME KYOTO」( 京都市役所本庁舎、京都、2024)「Line of Dance Reversal」 (Gallery マロニエ、京都、 2023) など。

Collective exhibitions
2023 年「 Line of dance Reversal」ギャラリーマロニエ / 京都
2023 年「京都芸術大学卒業・修了展」/ 京都
2024 年「 発する事の相互性」gallery LISAIL/ 京都
2024 年「 水道局 -きゅうり」KYOTO GROWLY/ 京都
2024 年「 ART RHZOME KYOTO」京都市役所本庁舎 / 京都
2025 年「refugia ‒ ?」同時代ギャラリー/  京都
2025 年「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2025」京都文化博物館/ 京都
2025 年「フェリス・カトゥス」gallery garage/ 京都