数ある日本の伝統工藝の中でも、植物由来の装飾でシルクのような艶と輝きを持つことが特徴である『麦わら細工』について研究している。

麦わらを桐箱などの木工に貼り付けて、光り輝くようにみせる伝統工芸はおそらく他にはないだろう。

毎日の生活の中で、麦わらに触れることは少ない。しかし、麦という植物は私たち人間の食生活の中心と言っても過言ではない。当たり前に存在する麦なのに、わらになると目にする機会がほとんどない。

麦わらそのものが持つ美しさを、知るものは少ない。だからこそ、身近にあるのに、存在しないかのように扱われる美しいものに再度焦点を当てた。