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第4回ジュネーヴ展 “COLLECTING TIME 2016” 報告2

アーティスト・イン・レジデンス/京都&Genève 交換プロジェクト

第4回ジュネーヴ展 “COLLECTING TIME 2016”

 

レジデンス会場であるEspace cheminée nord & Espace 27 Usine Kuglerにて開催された展覧会“COLLECTING TIME 2016”は、6/11をもって終了し、武久絵里・笹岡由梨子の2名は日本へ帰国しました。

作家より、第2回目のレポートが届きましたので、ご報告いたします。


*第1回目のレポートはこちらからご覧ください。→①「ジュネーブ到着〜オープニングパーティーまで」

 

②「オープニングパーティー〜Collecting Time撤収まで」

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<武久絵里/Takehisa Eri>

 

1

 

パフォーマンスの内容は、開廊時間中(3〜4時間)私が展示室に立ち続けていることを基点にして、そこにいることを楽しむための指示書のようなものをフランス語で読み上げているというものだった。鑑賞者には「私はフランス語をうまく扱えないので、おかしな表現があると思います。それは私の母語の性格の表れかもしれません。」「しばらくここにいてみてください。もしよければ私の振り付けを試してみてください。また、あなたの言葉や感じたこと、返答などを、私が床に落としていく紙に書き足すことができます」という案内文を入口に提示していた。

 

2

 

指示書は毎日書き直していたので、展示期間中が制作期間の本番だった。鑑賞者が書いてくれた言葉(ときには私の顔やどこかの風景の絵が描かれていた)は、とても大切で重かった。意味は辞書を引きながらでないと受け取れなくても、その言葉が書かれている・存在しているということが、次の日の私のパフォーマンスを変形させた。

鑑賞者の言葉が書かれない日も、鑑賞者との距離や、発する言葉と一人で向き合うことを楽しんだ。アリアンさんが「あなたのパフォーマンスにどう入っていったらよいかわからない人に、会期中ずっとこうしているのだと伝えると、そのことにみんな驚いていた」と教えてくれた。ある日は私の声に合わせて、即興でギターを静かに弾く人がいた。他のクグラーのメンバーは後に、「3回見に行って、違う距離を試してみたのよ」と伝えてくれた。

 

3

 

全ての日が全く違う感触だった。人と共にいることのできる場所にいながら、自分の声を聞き続け、次のパフォーマンスのために慣れない言葉を編み直し続けること。最後の週に、ものと言葉の関係が溶けて、混乱する瞬間が訪れた。

心残りは、鑑賞者と直に対話する機会を設けられなかったこと。それを補完できるよう、パフォーマーとしての私の感触で記録冊子を作って、クグラーで閲覧してもらえるようにしたい。そこからまた対話を始める仕掛けを作りたい。

 

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<笹岡由梨子/Sasaoka Yuriko>

 

5月27日「Vernissage(オープニング・パーティ)」

ビデオ・インスタレーション「SWISS」の音楽・出演をして下さったクリスチョンさんが、私の展示会場へ来てくれた。彼は「アルプホルンの音色を聞けば、きっと沢山の人が作品の前に集まってくれるはずだ」と言い、会場の側でアルプホルンを演奏し始めた。すると、魔法のように沢山の人が会場に足を運んでくれた。また、展覧会では、さくらこちゃん・えいこさんなど素敵な日本人の方々に出会った。さくらこちゃんは京都の芸術大学の交換留学の学生で、日曜日に行われる「Detox Sunday」のお手伝いをするらしい。えいこさんはスイス人のフローリアンさんに嫁ぎ、スイスに在住している。スイスでお会いする日本人は、インパクトのある方々ばかりだった。その後、アリさんやアリアンさん、マリアさんなどKuglerのメンバーの方々にスイス料理のお店でご馳走になった。

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5月28日「Detox Sunday」

作家で日瑞のクォーターのYusukeさんと、スイスで料理を研究されている作家の山東さんがYusukeさんの器の作品に日本の精進料理をよそって振舞うという、”Performance culinaires”が行われた。他、さくらこちゃんたち3人の日本人が彼らのお手伝いをしていた。つまみ食いさせてもらったり、おしゃべりしたりと、楽しい1日を過ごした。

 

5月29日〜31日「Down」

緊張が解けたせいか体調を崩す。この時ぐらいから、cantinaというラウンジスペースで武久さんと沢山お話しした。武久さんは自分の周りにいないタイプの作家で(そもそもパフォーマーが知り合いにいない)、新鮮で刺激的だった。

 

6月4日「えいこさんファミリーのBBQへ」

オープニングで知り合ったえいこさんにBBQに誘っていただいた。お家で沢山の美味しい料理をご馳走して下さり、羊のお肉は特に格別であった。また、えいこさんの旦那さんのフローリアンさんは日本語が堪能で、日本の文化についても詳しい。フローリアンのお父さんのマーティンさんは、アリさんの大親友の画家で、かつてKuglerに居たらしい。彼のアトリエも覗かせて頂いた。大胆に油絵の具で描かれたミステリアスなイメージは、とても興味が惹かれた。

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6月5日「日瑞協会」

日瑞(日本スイス)協会の方々が作品を見に来てくださった。
中には日本人の方や日本語が話せる方もいたので、コンセプトの説明・スイスのレジデンスで作った作品について、満足にお話しすることができた。私の作品にも関心を持ってくれて、丁寧にいろんなことを質問してくれた。

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6月7日「ローザンヌへ」

武久さんとスイスに来て初トラムに乗って、ローザンヌへ。目的はデュ・ビュッフェのアールブリュット美術館と、レマン湖。迷いながらも、何とかトラムに乗れた。珍しく晴れて、車窓からは「これぞ、スイス!」というような美しい景色が見えた。ローザンヌは小さな都市なので、1日で周るには丁度良いらしい。少し歩くと、アールブリュット美術館に到着した。
アールブリュット美術館は建物はこじんまりしているが、作品数・作品内容は想像以上であった。長年憧れているヘンリー・ダーガーの作品も初めてお目にかかれ、こみ上げるものがあった。とても大切に作品を展示しているのが印象的で、スイスに訪れる際は是非もう1度行きたい美術館である。その後、動物博物館へ行き(ここもなかなか熱い!)、レマン湖へ向かった。
レマン湖は人生で見た湖の中で、一番美しかった。日本では見られない大きさと、色彩であった。

 

6月11日「Finissage(クロージング・パーティ」

「COLLETING TIME」展最終日、訪問者は思いの外少なかった。しかし、Kuglerに所縁のある方々がパーティに集まった。武久さん・クリスチョン・えいこさんファミリーやKuglerのメンバーと沢山お話しして、スイスに着いて一番にぎやかお食事会だった。夜まで皆ではしゃいだ。スイスで出会った皆さんは、本当に親切で、ユーモアがあって、「こんな人になりたいな」と憧れる方々ばかりだった。

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以上。次回は、第3回目「帰国後、ジュネーブ滞在を振り返って」のレポートを掲載予定です。
2016年6月29日